かかりつけ医の勧めで生後4ヶ月でしたが赤ちゃんに上唇小帯切除の手術を受けさせた時のお話です。
その時の経緯と術後の様子を参考に記します。術後の経過も順調で、今のところ何も問題は起こっていません。
赤ちゃんの口内が気になったので歯医者さんを受診
こどもが生まれて病院から我が家に帰ってきて数週間のある日。いつものように赤ちゃんにミルクをあげていると口の中の歯ぐきの一箇所に白いものが見えた。はて?なんだろう?ミルクのカスかな?数日後に見た時にはその白いモノがなくなっていたので何か見間違えたのだと思うことに。
また数週間後、口の中に白いものが…。そして翌日見るとなくなっている…。う〜んなんだろう?
そんなことがつづき、生後3ヶ月を過ぎたあたりで妻に相談。すると妻も時々その白い物体を見かけて気にはなっていたとのこと。
それじゃあ一度歯医者さんに診てもらおうということになり、私が普段受診している歯医者さんが小児歯科もあったので予約を取りました。
小児歯科を受診
予約していた日になり、親子3人で歯医者さんへ向かいました。
私が普段からかなりお世話になっているので受付の人や歯科衛生士さんやらがロビーにまで出てきて「おめでとうございます!赤ちゃん見せてください!」とモテモテです。
一通りの赤ちゃん対面が終わると今まで入ったことのない部屋に通される。どうやら小さい子供同伴の場合に入れる特別待合室みたいです。
しばらく待っていると2人の先生がやってきました。いつもお世話になっている先生と女性の先生でした。ここの歯医者さんは夫婦2人でやっているのでこの女性の先生は奥さんということになるはず。
旦那先生は私にこどものお口の中のことは奥さん先生が担当する旨を伝えてきました。
奥さん先生との挨拶を済ませて早速こどもの口の中を診てもらいました。
歯ぐきの白い物体は上皮真珠
先生の口の中のチェックが始まりました。触診などもして2〜3分。先生は歯ぐきの白い物体は上皮真珠だという判断でした。上皮真珠自体はこれから歯が生えてくる前段階みたいなものなのでとりあえず経過観察で問題ないとのこと。つまりは放っておいても大丈夫ということ。注意が必要なのはこの月齢(この時の受診時は生後3ヶ月と2週)で歯が生えてきてしまっていた場合。虫歯などに気をつけなければいけないので歯の手入れが必要になってくるのだとか。まぁともかく歯の白い物体問題は杞憂に終わりました。妻とホッとしたのもつかの間、先生から子供のお口について別の問題があることを指摘されました…。
赤ちゃんの口の開きと上唇小帯異常
先生から指摘されたことの1つは口が何もしていない時にポカンと開いていること。口が開いているということはアゴの"チカラ"が弱いのが主な原因だという。我が家が完全ミルク育児だと聞いて尚更、先生は普段からアゴを鍛えるようにと言ってきました。このままアゴが弱いと大きくなった時に口が開きっぱなしになったり、食べ物を食べるチカラが育たなくなってしまう恐れがあると言われました。このことに関する対策などはまた後日に別の記事にて詳細を書きたいと思います。
そしてもう1つは本記事のメインでもある上唇小帯についてでした。
上唇小帯が長いと言われ、手術を勧められる
上唇小帯とは口の中の上唇と歯ぐきを繋いでいる筋のようなものです。
先生に触診してもらった上で、我子の場合この上唇小帯の状態が"長い"らしいのです。
長いことで上唇小帯が普通の赤ちゃんより口の中で邪魔な存在になっているのだとか。では上唇小帯が長い=上唇小帯異常だとどのような悪影響が出るのか。赤ちゃんの時代だけでなく将来起こる可能性も含めて、先生に聞いたことを以下にまとめてみました。
・ミルクを飲む時にうまく乳首を咥えられない
上唇小帯が邪魔をしてミルクを飲む口のカタチがラッパの形になりにくい。それによってうまく口を動かせないのでミルクが飲みづらい。
…確かにウチの赤ちゃんはミルクを飲む時に口がラッパの形にならず、巻き込んでしまいます。毎回親の手でめくってあげて、やっとラッパの形にしてました。
・離乳食を食べる時に食べづらい。
月齢が進むと離乳食を食べさせるようになる。その際に上唇小帯が長いと食べさせるスプーンなどが当たり痛がる可能性がある。赤ちゃんが痛いのを嫌がるので、離乳食を食べるのを嫌がる可能性が出てくる。それで赤ちゃんがなぜ食べないのかわからず悩んでしまうお母さんがいたりするのだとか。
・歯磨きを嫌がる。歯磨きしづらい。
上記の離乳食を嫌がるのと同じ理由で、歯ブラシが上唇小帯に当たると痛いので歯磨きを嫌がる。また、上唇小帯が邪魔で歯ブラシが動かしづらく歯磨きがしにくくなる。
・永久歯が生えてきた時に隙間ができる可能性がある
上唇小帯異常で1番心配なのがこの症状。”普通”の上唇小帯であればこどもが成長するにつれ徐々に歯ぐきの上部にあがっていくらしい。しかし上唇小帯が太かったり、長かったりといった異常がある場合はそうはいかない。前歯の間にしっかりと上唇小帯が残ってしまい、永久歯が生えてきた時に上唇小帯が邪魔をして前歯同士の間に隙間が出来てしまうのだとか。
・口がポカンと開いてしまう可能性がある
上唇小帯が太かったり、付いている位置によっては上唇が閉じづらいのか無意識に口が開いてしまうことがある。
実は私の妻もこの歯医者さんに妊婦歯科検診で診てもらった時に上唇小帯異常を指摘されました。普段からふとした時にアヒルのように上唇を上向きにして口をよく開いています。その原因が上唇小帯だと言われ、切除すればそれが治ると言われていました。私の妻は切るのが怖くて手術はうけずにいます。
・口を閉じる時に変な癖がつく可能性がある
上記の口が開いてしまうことの弊害で上唇が下に降りない場合に下唇を上に動かして閉じようとしてしまう。まるでアントニオ猪木のモノマネをするような感じとでもいっておきましょうか。全員がそうなるとは言わないが上唇小帯の状態によってはそういう癖がついてしまう恐れがあるのだとか。
こういったことが上唇小帯異常によって問題になるらしいのです。
そしてこれらを踏まえて、先生から1つの提案がありました。それは「上唇小帯を切ってしまう手術をしませんか?」ということでした。
手術と聞いて私達夫婦は一瞬ビビりました。だってまだ生後3ヶ月過ぎたばかりですよ。
しかしながら上唇小帯異常のデメリットを聞いたばかり。
手術に関して先生にいくつか質問してみました。
Q.手術はしたほうがよいのか。(手術をした場合のメリット)
A.手術をすることで先ほどの上唇小帯異常の場合に起こりうる症状が解消されるのでやってしまうことをおすすめする。
Q.手術をしたことによる悪影響やデメリットはあるのか。
A.特に無い。強いていえば、もしかしたら将来上唇小帯がちゃんと上にあがる可能性があり、そもそもしなくてもよかった手術をするということ。
Q.するのならいつぐらいがよいのか。
A.普通なら成長するにしたがって上唇小帯が上にあがる。成長の様子を観察しながら待ってもよいが、この赤ちゃんの場合はすでに上唇小帯が長いので早めにやってあげてよい。赤ちゃんのうちに手術をしてしまえば治りも早い。
Q.手術はどんな感じ
A.上唇小帯に部分麻酔をかけて、ハサミで切る。切った部分に治りを早めるレーザーを当てて終了。
Q.上唇小帯の切除手術に掛かる費用はどれぐらいか
A.上唇小帯切除手術は保険が適用される。さらに言えば患者がこどもなので自己負担額は無料になる。(私の暮らしている県ではこどもに掛かる医療費が15歳まで無料です。)
以上のことを聞き終えると「手術のことは考えておいてください」とこの件は終了。
その後は少し赤ちゃんのこれからの歯のことについての指導がありました。先生が母子手帳に本日の診察内容を記入するため部屋から退室すると、私たち夫婦は上唇小帯の手術について話し合いました。先生からの説明で夫婦ともに納得していたので上唇小帯の切除手術をする決意をしました。先生が部屋に戻ってきて、早速上唇小帯の手術をお願いしたい旨を伝えました。先生は受付にスケジュールを確認しに行き、手術は10日後に決まりました。
上唇小帯切除を赤ちゃんの時にして大丈夫なのか?
家に帰り、手術をお願いしたものの本当に赤ちゃん(生後4ヶ月)でしてしまってよいのか心配になってきました。例えば顔が変わってしまうんじゃないのかとか…。
ネット情報を集める限り上唇小帯手術をする場合はやはり少し成長して上唇小帯の状態がどうなるかを待ってからが多いようです。しかしそれはあくまでしなくてもよい手術をしないため。手術をしたからといって顔が変わるようなことはなさそう。
また、こどもが遊んでいたり運動していたりしていて上唇小帯を切ってしまう事故も少なくないようです。その場合でもただ止血をしてそのままという場合がほとんど。わざわざ切れた上唇小帯を縫い直すなんてことはしないようです。
これらのことからいつ切除手術をしようが、手術をしたことによるデメリットや悪いことは特に無いことがわかりました。
上唇小帯切除術の手順や内容
手術日当日。
こどもの体調は問題なさそう。
手術後どんな事態が起こるかわからなかったので、歯医者さんへ行く時間の30分前にミルクを飲ませる。
出かける支度をして歯医者さんへ親子3人で向かいました。
歯医者さん到着後、受け付けを済ませてこの間の特別待合室に通されました。
ドキドキしながら待っていると先生が登場。まずはこどもの口の中の状態をチェックすることになりました。
トレーニングが効いているようで前回触診したときよりも大分お口が柔らかくなったと言われました。
こどもの体調を確認され、今日このまま上唇小帯を切る手術を行ってよいかの最終確認がありました。
夫婦ともに話し合い済みでしたので上唇小帯切除をお願いしました。
誓約書にサイン
返事を聞いた先生は「わかりました」と言い、私に用紙を手渡してきました。それは「上唇小帯切除の手術を受けます」という誓約書でした。本来は本人が名前を書くらしいのですが、赤ちゃんの場合は保護者の名前を書くことになっているようです。
誓約書に私の名前を記入して正式に上唇小帯の手術手続が完了。すると先生は「この待合室で上唇小帯切除を行います」と言われ、歯科助手の方が手術で使用するであろう道具や設備を運び入れ始めました。
上唇小帯に部分麻酔をかける
機材の準備が整い、先生と妻が向かい合うように座る。そして先生の方にこどもの頭が向くように仰向けに膝の上に寝かす。その横から歯科助手さんがサポートする布陣で上唇小帯切除手術開始。私は妻の後ろからただ見守るかたちになりました。
まずは上唇小帯に部分麻酔をかけるようで、助手の方が道具を出す。電動ドライバーみたいなかたちの麻酔注射。先生と歯科助手さんがこどもの頭をおさえる。嫌がるこども。しかし女性とはいえ大人二人に敵うはずもなく身動きがとれないようだ。上唇をめくられ、上唇小帯が見えるとそこに麻酔を注射。注射された箇所からは血が流れ始めたが少量。注射された瞬間はビクッとしたが泣き叫ぶわけでもなく少しジタバタする程度。そこまで痛くはなさそうでした。
麻酔針を刺して10数秒。麻酔注射終了。上唇小帯に麻酔が効くまでしばらく待つことに。
上唇小帯切除
数分後。先程と同じフォーメーションになり、いよいよ上唇小帯の切除。こどもの頭を押さえ始めると先程の麻酔のこともあったのか声を出して頭を激しく動かす。歯科助手さんによりしっかりと頭を固定させるように先生が指示を出す。ガッチリと固定し、上唇をめくり医療用のハサミで上唇小帯をなんのためらいもなくスパッと切りました。しかし切る瞬間こどもが少し動いたためか、切る深さが足りなかったのか、もう少し切るとのこと。三度こどもの頭をおさえて上唇小帯にハサミをいれる。上手くいったようで切除した箇所の止血にガーゼをあてる。その間に歯科助手さんは次の行程の準備。
切除した上唇小帯にレーザーをあてる
次は切った上唇小帯の治りを良くするためにレーザーを当てる施術。いままでと同様の格好で患部にレーザーを当てていく。こどもは疲れ始めたのかそこまで動くことはなく進行。数十秒レーザーを当てて終了。
血が止まるまで切った上唇小帯にガーゼを当てて安静にして待つように言われる。しばらくして出血がおさまり、容態をみて、こどもの様子が落ち着いたら今日は終了ということでした。
先生からは
・今日1日は多少血が唾液に混じったりするだろうが子供の容態が悪くならなければ問題なし。
・数日、上唇小帯を切った部分の様子を観察して問題なさそうなら受診は必要なし。
・出血が止まらなかったり、異常が見られる時にはまた電話をして受診をして下さい
とのことでした。
ガーゼを当てて待っていると子供は疲れたのか眠ってしまいました。10分ぐらい待ち、先生がやってくる。患部の状態を見て出血が止まっており、寝てるぐらいだから体調も問題なさそうということで帰宅許可がでました。
帰る準備をして、診察券と母子健康手帳を受け取ったあとに受付の人と少し会話。男性は血を見るのがイヤで手術の時は退室してる人が多いと聞きました。確かに我が子が出血しているのを見た時は可哀想だなと感じましたが、親の私が手術をさせたわけなので見届けるのが筋だろうと思っていたので頑張りました。まぁ本当に後ろで見てただけですが…。
というわけで上唇小帯切除手術は問題なく終了。歯医者さんに行ってから出てくるまでで30分ぐらいの時間が掛かっただけでした。
上唇小帯切除術後の赤ちゃんの様子
上唇小帯切除手術後、歯医者さんを後にして家に着きました。
少し見辛いですが家に帰ってきてから手術したあとの上唇小帯の写真を撮ってみました。
レーザーを当てたあとの白い部分が見えるぐらいでこれといった出血は見当たりません。
子供の様子は特に変化はなく、いつものお昼寝マットの上に横になるとホッとしたのかいつもと同じ様子。
1時間30分後、普通にミルクを欲しがり泣き出しました。歯医者に行く前にあげた時間から考えると3時間経ったことになり、いつもどおりのお腹の減り具合のようです。
ミルクを作りいつも通りにあげてみると、いたがる様子もなく普通にゴクゴクと飲みだしました。
ここであることに気づきました。口の形がいとも簡単にラッパのかたちになりました。
上唇小帯を切った影響が早くも出ているようです。
その日1日は注意深くこどもの様子を観察していましたが普段の日常と変わりなく過ごしていました。本当に手術したのかと疑うほどに。
2日目。昨日から引き続き様子を見ていましたが、容態が変化するようなこともなし。若干血液が混じっているのか、口から垂れるよだれの色が茶色。しかしミルクは普通に飲んでいるし、切った上唇小帯を痛がっている様子はなし。
3日目。唾液の色も透明になり、上唇小帯からの出血も止まったよう。体調も変化なしのようなので、わざわざ歯医者さんに診てもらうようなことはなさそう。
その後も特に問題なくふつ〜うに過ごしております。
2週間経った時の切除後の上唇小帯の画像です。
キレイに治りました。
とりあえず手術前はどうなることかと心配でしたが、術後の経過を見ている限りとっても普通に過ごしております。いや、前以上に上唇がスムーズに動くようになったのか喃語が多くなったように感じます。
手術で迷っているのならやってしまうのも手だと思いますよ!